五のことづて

いよいよ実りの秋を迎えた水窪の粟に密着。〜収穫からアワ餅になるまで〜

2016年10月、水窪で育てていた粟がついに収穫の時期を迎え、11月1日から店舗ではアワ餅「みさくぼ」の販売を開始いたしました。
多くのお客様からご好評いただいているこのアワ餅、いったいどのようにして作られたのか気になる方も多いのではないでしょうか?

今回は、五穀屋で大切に育ててきた粟を収穫してから実際の商品になるまでを密着取材。
普段の生活の中では中々目にすることのない、知られざる「粟」の世界をご覧にいれましょう。


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2016年10月のある晴れた日、水窪で粟の収穫が行われました。
こちらは、五穀屋の粟の畑の中で最も面積の広い「月夜平(つきよだいら)」の畑。

いよいよ実りの秋を迎えた水窪の粟に密着。〜収穫からアワ餅になるまで〜

いよいよ実りの秋を迎えた水窪の粟に密着。〜収穫からアワ餅になるまで〜

たわわに実った粟が、ずっしりと重く穂を垂らしています。

粟は人の背丈ほどの高さまで成長していますが、収穫で必要なのは当然、種子が実っている穂の部分だけ。
米はコンバインなどの機械で一気に刈り取ることができますが、粟には専用の機械がないため、ひとつひとつ人の手で刈り取らなければなりません。

いよいよ実りの秋を迎えた水窪の粟に密着。〜収穫からアワ餅になるまで〜

広い畑なので、全ての穂を刈り取るのも一苦労。
水窪の方々にもご協力いただき、5日かがりの作業となりました。


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収穫した粟は数本を一束にまとめ、自然乾燥。

水分が残っているとカビが発生してしまうため、ちょうどよい水分条件になるまで、およそ2〜3週間、しっかりと乾かします。
機械で乾燥させることも可能ですが、あまり乾燥させすぎると脱穀や精白の段階でもろくなり砕けてしまうこともあるそうです。

いよいよ実りの秋を迎えた水窪の粟に密着。〜収穫からアワ餅になるまで〜

いよいよ実りの秋を迎えた水窪の粟に密着。〜収穫からアワ餅になるまで〜

稲刈りのあとでよく見られる稲架掛け(はさかけ)は、粟でも同じ。たくさんの粟を一度に干すことができました。
今年は雨が多かったため、雨よけのために軒先で干しましたが、水窪に吹き抜ける山あいの風が、粟の乾燥を助けてくれました。

収穫して乾燥させた後は、種子を茎からはずす「脱穀(だっこく)」と、穎果(えいか)の外側の殻であるもみ殻をはずす「もみ摺り(もみずり)/脱稃(だっぷ)」を行います。
この二つの行程を経てようやく、お米でいう玄米の状態になります。

もみ摺り後の粟は、もみ殻と粟の実が混ざっている状態のため、食べられない部分や大きなゴミを取り除くために「唐箕(とうみ)」にかけます。
唐箕は昔ながらの、風の力で穀物を選別するための伝統的な農具。
現在の稲作ではほとんど使われなくなってしまいましたが、今回は水窪で昔から使われている木製の唐箕を使わせていただきました。

いよいよ実りの秋を迎えた水窪の粟に密着。〜収穫からアワ餅になるまで〜

いよいよ実りの秋を迎えた水窪の粟に密着。〜収穫からアワ餅になるまで〜

上部から粟を入れ、くるくるとハンドルを回すと、軽いもみ殻は吹き飛ばされて勢いよく吹き出され、重い粟の実は飛ばずに残って唐箕の下から回収されます。
かなり強い風がおきるため、辺り一面にもみ殻が散り、まるで雪のように舞う様子が見られます。

手で選り分けると何日かかるか分からないような作業ですが、昔ながらの知恵によって一気に終わらせることができました。
現代でも、木製ではありませんが唐箕と同じ原理の機械が使われているのだとか。
こうして脈々と受け継がれて行く知恵が、今の農業を支えているのかもしれませんね。


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唐箕によってもみ殻が除去された後は、「精白」と「色彩選別」を行います。

もみ殻が取れただけの粟は、玄米の状態のお米と同じように、果皮・種皮・糊粉層の部分、つまり糠(ぬか)が付いたままの状態。
この糠を削り取る行程を「精白」といい、玄米の場合は糠を取ると白くなるためこのように呼ばれています。
食味を良くするために必要な行程で、これによって粟がより美味しく食べられるようになるんです。

精白の後は、いよいよ最後の仕上げ「色彩選別」です。
色を判別する専用の機械を用い、良い粟だけを選別することにより、小さなゴミや、未熟な粟の粒を取り除きます。

いよいよ実りの秋を迎えた水窪の粟に密着。〜収穫からアワ餅になるまで〜

この選別機、上から落ちてくる粟の粒のうち、黒いもののみを空気の力で吹き飛ばす仕組みなのですが、粟はとても粒が小さいので、吹き飛ばす際に食べられる粟も一緒にはじかれてしまいます。

せっかく皆で育てた粟を1粒も無駄にしたくない。
よりたくさん粟を回収するために、はじかれたものをさらに選別機へかけました。
写真は左から、1回目、2回目、3回目の粟で、だんだんとゴミだけが分けられていくのが分かります。

また、ゴミと分けられた「食べられる粟」も、実は一度の選別だけではきれいにはなりません。
完全にゴミを除去するためには、何度も選別機に通す必要があるのです。

いよいよ実りの秋を迎えた水窪の粟に密着。〜収穫からアワ餅になるまで〜

選別を重ねること5回、やっと食べられる粟だけになったものがこちら。
手で掬うと、ゴミや黒くなってしまった粟などはなく、均一な色の粟のみを集めることができました。

いよいよ実りの秋を迎えた水窪の粟に密着。〜収穫からアワ餅になるまで〜

はじかれてしまった分から回収した粟と合わせて、かなりの量の収穫になりました。
たくさんの粟が穫れて思わず、ホクホク顔。

ここまで来ると、食べられるようになるまで、後少し。

そのまま炊いても食べられますが、
五穀屋ではこのきれいになった粟を使って、アワ餅「みさくぼ」をつくり、販売しています。

いよいよ実りの秋を迎えた水窪の粟に密着。〜収穫からアワ餅になるまで〜

いよいよ実りの秋を迎えた水窪の粟に密着。〜収穫からアワ餅になるまで〜

今回育てて収穫した粟は「もち粟」で、お米でいうもち米のような品種なので、蒸すだけでも独特のもちもちとした食感が得られます。
五穀屋ではもち粟の食感と相性のよい、もち米と一緒に蒸しています。

上品な甘さの漉し餡を、蒸した粟でひとつひとつ丁寧にくるむと、アワ餅「みさくぼ」になります。

いよいよ実りの秋を迎えた水窪の粟に密着。〜収穫からアワ餅になるまで〜

こうして、4月から実に7ヶ月間かけてようやく皆様に食べていただける形になりました。

五穀屋の、水窪の方々の思いが詰まった、アワ餅「みさくぼ」は、店舗限定で販売中です。
どうぞこの機会に召し上がってみてはいかがでしょうか?


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いかがでしたか?
今回は、粟の収穫からアワ餅になるまでをお伝えいたしました。
この記事を読んだ皆様に、粟や五穀のこと・水窪のことに、より興味をもっていただけたら幸いです。

五穀屋ではまた来年も、引き続き粟の栽培に取り組んでいきます。
来年は皆様に、収穫などの一部の作業にご参加いただくことがあるかも・・・?
粟の栽培に興味がある方は、どうぞお楽しみに。



▼ 今回ご紹介した商品 ▼

「アワ餅 みさくぼ」
 324円(税込)
 ※こちらの商品は店舗限定販売です。
 ※2016年11月1日(火)〜12月中旬の期間限定商品です。