五のことづて

米の甘味と旨みを引き出す、発酵の知恵「糀」

恵みの雨が降り注ぎ、大地に沁み入る季節がやってまいりました。
この頃は夏本番を前にして、昼夜の寒暖差や気圧の変化で体調をくずしやすいという方も多いのではないでしょうか。
今年も訪れる暑い夏をのりきるために、今のうちから体の調子を整えておきたいですね。

今日は、この季節の栄養補給にぴったりの発酵食品「糀(こうじ)」についてお伝えして参ります。
どうぞごゆるりと、肩のちからを抜いてご覧くださいませ。


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「こうじ」には「米に花を書く“糀”」と、「麦に匊と書く“麹”」があります。

もともとは、中国から伝わってきた「麹」の字が使われていたのですが、明治時代に和製漢字として「糀」の字が生まれ、使われるようになりました。

古くから使われてきた「麹」には「豆・麦・米を発酵させたもの」という意味がありましたが、日本人は「蒸し米に麹菌をつけて発酵させたもの」に糀の漢字をあてたのです。
米が原料ということから、米という字が入っているのは納得できますね。

では、なぜ「花」という字をあてたのかお分かりでしょうか?
その答えは糀の見た目にありました。

米の甘味と旨みを引き出す、発酵の知恵「糀」

こちらが糀の写真です。

よく見ると、米の粒のまわりにふわふわとした白い綿のようなものがあるのがご覧いただけるかと思います。
この白いものが麹菌。ニホンコウジカビ(Aspergillus oryzae (Ahlburg) Cohn, 1884)です。

この、まるで可憐な白い花、カスミソウのような見た目の米麹に「米の花」という漢字をあてたことに、日本人の美意識の高さが伺えますね。

米の甘味と旨みを引き出す、発酵の知恵「糀」

ニホンコウジカビはその名前からもお分かりの通り、カビの仲間。
古くから発酵に使われてきた菌で、日本酒・味噌・醤油・みりん造りになくてはならない存在です。
日本以外のアジア圏でも、同じようなカビの仲間が発酵食品に利用されています。

蒸した米にうえられた麹菌は、米に含まれるデンプン・タンパク質を、糖化酵素・タンパク質分解酵素を放出することにより加水分解します。
そうして単糖やアミノ酸をつくり出し栄養源にすることによって、米の表面をびっしりと覆うほどに増え、糀となります。
糀は、生きた菌の住処なのです。
それ自体を食べることはありませんが、他の材料を発酵させるためのちからを持つ材料として、甘酒造り・日本酒造りなどに使われます。

米と糀、水を合わせて適温を保つことで、「糀の甘酒」をつくることができます。
麹菌の生産する酵素のちからで、米から甘みや旨み・栄養を余すところなく引き出した発酵飲料です。

▼ 五穀屋で販売中の「糀の甘酒」(左:古代米/右:吟醸麹)

米の甘味と旨みを引き出す、発酵の知恵「糀」

「飲む点滴」とも言われるほど栄養が豊富で、江戸時代には夏の栄養補給に飲まれていたとされ、「甘酒」という言葉は夏の季語になっているんです。
近年の研究では、糀の甘酒にはエネルギー源になる「ブドウ糖(グルコース)」、体の中で酵素の働きを助ける「ビタミンB」、必須アミノ酸9種類を含む全てのアミノ酸を含んでいることが報告*されています。

五穀屋ではこの糀の甘酒を2種類ご用意しております。
「糀の甘酒 吟醸麹」は「糀」のみを贅沢に使用した一品ですっきりとした甘さの一品。
「糀の甘酒 古代米」は「赤米紫」という赤米を使った、ほのかな薄紅色が特徴の甘酒です。

▼過去の「糀の甘酒」記事はこちら
http://gokokuya.jp/blog/detail.php?product_id=501

また、五穀屋の甘酒を含め、いろいろな糀の甘酒の飲み比べができる五穀屋講座のご予約も承っております。
この講座では、発酵マイスターの解説を交えながら甘酒の味わい深い世界を楽しむことができますよ。
ぜひこの機会にご参加くださいませ。


米と糀由来の甘味は、糀の甘酒として親しまれるだけでなく、砂糖のかわりに使われることもあります。
まろやかで深みのある自然な甘さが、料理やお菓子づくりをより楽しく、味わい豊かにしてくれます。

五穀屋の夏の水菓子「天糀」も、糀から造った甘味料「糀糖」を使った一品です。

▼ 糀糖の水菓子 天糀

米の甘味と旨みを引き出す、発酵の知恵「糀」

米の甘味と旨みを引き出す、発酵の知恵「糀」

天糀に使われている「糀糖」は、江戸時代から続く老舗酒蔵「七賢」が開発した発酵甘味料。
甲斐駒ケ岳から流れてくる伏流水を使い、熟練の技術により醸された米糀を使った、七賢ならではの素材なんです。

最近、テレビや雑誌などで取りあげられ、糀の甘酒は広く知られるようになりましたが、糀の甘味を味わうお菓子は、意外に少ないもの。
この記事を読んで興味を持った方は、ぜひ一度「天糀」をお試しくださいね。


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いかがでしたか?
今回は、意外と知られていない発酵食品「糀」についてお伝えいたしました。

皆様も甘酒・日本酒・味噌などをお召し上がりの際は、糀に息づく小さな立役者「麹菌」のちからを感じてみてはいかがでしょうか?



▼ 今回ご紹介した商品 ▼

「糀の甘酒 吟醸麹」
 972円(税込)
 オンラインショップはこちら

「糀の甘酒 古代米」
 972円(税込)
 オンラインショップはこちら

「糀糖の水菓子 天糀」
 甘酒 270円(税込)
 甘夏 270円(税込)
 白桃 270円(税込)
 3個入り 810円(税込)
 8個入り 2,160円(税込)
 オンラインショップはこちら
※こちらの商品は5月〜8月までの期間限定販売です。


▼ 今回ご紹介した講座 ▼

「飲み比べて知ろう、夏に飲む甘酒」
 1,500円(税込)
 詳細はこちら



【参考文献】
*Metabolomics of amazake using rice koji and its lactic acid fermentation products.
*Protease from Aspergillus oryzae ; Biochemical Characterization and Application as a Potential Biocatalyst for Production of Protein Hydrolysates with Antioxidant Activities.
*Metabolomic Profiles of Aspergillus oryzae and Bacillus amyloliquefaciens During Rice Koji Fermentation.