お酢に引き続き、”発酵のさしすせそ”の中の、”せ”と”そ”、
「醤油」と「味噌」をつくっている、
「ヤマコウ 加藤醤油」を訪問。
味噌と醤油の製造をしている蔵の中を見学させていただきました。
紺地に屋号(やごう)の”ヤマコウ”の印が白く記された暖簾をくぐり、ご挨拶。
出迎えてくださったのは、
加藤醤油代表取締役、虎岩博之氏。
蔵の2階に案内していただき、
醤油・味噌、それぞれの製造方法や、種類の違いについて、とても丁寧に説明していただきました。
ここで、醤油の原料と種類について簡単にご紹介しましょう。
醤油は「大豆」「小麦」「塩」「水」からできています。
比率は、作る醤油の種類によって様々で、
その種類は、
「こいくち醤油」「うすくち醤油」「たまり醤油」「白醤油」「再仕込醤油」
この5つに大別されます。
材料・製法の違いは、名前の通り、見た目にはっきりとあらわれます。
こちらが、種類別の醤油を並べたもの。
「白醤油(写真左上)」がもっとも薄く、「再仕込醤油(写真左下)」がもっとも濃い色をしているのが、
お分かりいただけるでしょうか?
材料の比率の一例を、透明な容器に入れたもので再現したものを見せていただきました。
なんと意外にも塩がたくさん入っていることに驚きを感じつつ、
これらの材料がどうやったら、あの香り高い醤油になるのでしょうか?
ますます興味が湧いてきたところで、
いよいよ、蔵内の見学です。
醤油の原料のひとつは「大豆」ですが、
ただの大豆を入れても、醤油にはなりません。
そう、醤油は「発酵」食品。
菌の力を借りて、大豆・小麦を発酵させるところから、醤油づくりははじまります。
蒸した大豆と煎った小麦は、「麹菌(こうじ菌)」と呼ばれる、特殊な菌にまぶされます。
この菌は大豆・小麦に含まれるタンパク質を分解し、旨味成分であるアミノ酸に変えてくれるのです。
菌をまぶした大豆・小麦は、専用の麹蓋(こうじぶた)と呼ばれる木の容れ物に入れられ、
菌の生育にちょうどよい温度・湿度が保たれた室(むろ)で一定時間寝かされ、「麹」ができます。
その際、発酵の影響で熱が出てしまうため、職人が手で何度も混ぜて、温度が上がりすぎないようにしています。
これを「手入れ」といい、混ぜ具合は温度によってかわるのだそうです。正に職人技ですね。
この製法は「麹蓋製法」とよばれる、職人の手わざが必須の”こだわり”製法。
一般的に大量生産されている醤油にくらべ、たくさんの手間ひまがかかっているのです。
虎岩氏によると、醤油づくりにはこんな言葉があるそうです。
「一麹 二櫂(かい) 三火入れ」
これは、古くから伝わる醤油づくりの3つのポイントです。
「特に麹には気を使います。
機械で大量生産された麹は、やはりムラがでてしまって、”平均点”のものしか作れないんです。
常に”100点満点”の麹を作るには、手作業が欠かせないんですよ。」
そう語る虎岩氏の言葉に、
醤油づくりへの熱意と、麹に込める想いを感じる一同。
聞く方にも思わず力が入ってしまいました。
つぎに、先ほどの麹に「塩」と「水」を大きな木桶(きおけ)に入れ、熟成させ諸味(もろみ)にします。
今回は、木桶のひとつを特別に見せていただきました。
熟成の間、何もしないで待っているだけなのかというと、そうではありません。
ここでは醤油づくりのポイント2つ目の「櫂入れ(かいいれ)」を行います。
櫂、というのは船のオールのことで、
醤油づくりの際に諸味を撹拌する道具を指します。
櫂でかき混ぜるので、「櫂入れ」というのですが、醤油職人の技がここでも発揮されています。
発酵具合を、色や匂い、諸味の固さによって判断し、適切な混ぜ具合を調整するのは
機械では再現できない、人の手ならではの細やかな作業。
櫂を入れるごとに、「美味しくなりますように」と願って、心を込めてつくられて、
十分に発酵し、旨味を凝縮した最高の諸味になるんですね。
この諸味は、どんな味がするのでしょう?
とても気になった一同は、虎岩氏にお願いして特別に食べさせていただきました。
水分の多い味噌のような見た目ですが、
指でひと掬いしてなめると、独特の旨味としょっぱさ———たしかに、醤油の味を感じます。
「白いご飯にかけて食べたい!」
見学中にもかかわらず、思わず溢れ出た気持ちが口をついて出てきてしまうほど。
この諸味を搾って、美味しい部分を集めたものが醤油なら、
美味しいのも納得ですね。
さて、この諸味ですが、この状態から醤油にするには、
搾り濾さなければなりません。
そこで登場するのが、こちらの「舟(ふね)」。
中に諸味を入れて、醤油を濾すことができる道具です。
諸味は、袋や、折り畳んで包む布にくるまれて重ねられた後、
上から全体に圧力をかけられ、船の下にある穴から、醤油がでてくるという仕組み。
今回は実際の場面を見ることができませんでしたが、
濾し出したばかりのできたての醤油を一度でよいので味わってみたいですね。
この後、第3のポイント「火入れ」があり、ビンにつめられて製品として完成します。
火入れをすることで、醤油の中で生きている微生物がガスを発生させ、ビンが破裂させてしまうことを防ぎます。
また、醤油独特の色を調えて香りを引き出す行程でもあります。
そして———出来上がったものがこちら。
職人が心を込めて作った、こだわりの醤油。
機械で作った醤油にはない、繊細なお味が魅力の一品です。
五穀屋ではこちらの醤油を、「五穀せんべい 山むすび 玄米醤油」に使用しています。
醤油一本は使い切るのに時間がかかりますが、おせんべいならサクサクと食べられますので、気軽に醤油の美味しさを味わってみてはいかがでしょうか?
▼ 五穀せんべい 山むすび 玄米醤油 はこちらから ▼
http://gokokuya.jp/products/detail.php?product_id=63
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皆様、いかがでしたか?
企業訪問第2回は、「加藤醤油編」をお伝えいたしました。
醤油の魅力について、少しでも伝わったでしょうか?
また次の企業訪問の機会がありましたら、
随時報告してまいります。
どうぞ、お楽しみに。
今回は2社目「加藤醤油」訪問の様子をお伝えいたします。