きづつみのお箱に使用されている和紙は、
モダンさのなかにどことなく懐かしみをおぼえる「縞模様」。
最近では「ボーダー」「ストライプ」として、服や小物など、
日常の中でよく見る柄ですね。お手持ちのアイテムの中に、
縞模様のものをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
縞模様は、実は日本文化の中では古くより貴族から大衆まで幅広く使われてきた、
日本人にとってなじみのある柄なのです。
かつて南蛮貿易により、
インドや東アジアから渡来した絹織物・綿織物は「島もの」と呼ばれていました。
この「島」に、やがて絹を意味した「縞」という漢字があてられるようになり、
現代の縞模様に通じていると言われています。
縞模様は、江戸時代には大変な人気ぶりでした。
現代に残された多くの版画にも、縞柄の着物を着た人々の姿が見受けられます。
かの有名な浮世絵師「東洲斎写楽」の『恋女房染分手綱』は大変有名な作品ですが、
この版画にも、縞模様の着物を着た人物が描かれています。
着物の縞模様は織によって生まれるものですが、
染色・印刷技術の発展により、洋服や包み紙などの模様は、
昨今では紙や布に直接プリントされていることが多くなりました。
しかし、きづつみの縞模様は実は印刷ではなく、
和紙の厚みの違いによって濃淡を出し、
縞を表現しているのです。
薄い和紙の上に、短冊状の和紙を重ねて漉くことで、
一枚の和紙の中で厚い部分と薄い部分ができ、これが縞模様になります。
実際に、箱の表面をゆっくりと指でたどると、
微妙な凹凸を感じることができますよ。
さらに、きづつみの箱は和紙だけでなく、
意外なところに古くからの知恵を取り入れています。こちらの蓋の縁にご注目ください。
縁にぐるりと和紙を重ねているのがお分かりいただけますか?
このような縁を巻く「縁巻き」は、
古くは身函(蓋つきの箱の下側)の底に施すものでした。
機械化や簡略化によって、現代では無くなってしまったのですが、
五穀屋ではこの「縁巻き」をひとつの意匠と捉え、
オリジナルデザインとして取り入れているのです。
こちらの「縁巻き」は、すべて手作業。
箱ひとつとっても、手間ひまをかけた最上のものをお渡ししたいという、五穀屋のこころが込められています。
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今回は視点を変えて、お菓子そのものではなく、
お菓子を包む箱についてお伝えいたしました。
お菓子とともに、大切な方への気持ちを包むものだからこそ、
細部に至るまで、ひとつひとつ丁寧にお作りした五穀屋の「きづつみ」。
「贈りものは、味だけでなく、しつらえにもこだわりたい」という方におすすめです。
店舗・オンラインショップにて取り扱っておりますので、
ぜひご利用くださいませ。
▼ 今回ご紹介した商品 ▼
「きづつみ」
2,700円(税込)〜8,100円(税込)
オンラインショップはこちら
四方に和紙を張り合わせてつくられたお箱は、
和の素材感あふれる、凛とした雰囲気を纏っています。