黍は、米や粟と同じくイネ科の一年生植物で、干ばつに強く、渇いた土地に適した作物として知られています。
米や粟などのイネ科の穀物と同様、”もち種”と”うるち種”がありますが、
日本では古来より、もち種の黍(もちきび)が栽培されており、祭事用のもちや団子の材料として重宝されてきました。
昔話の桃太郎に出てくる「きびだんご」は、まさにこのもち種の黍でできたお団子。
もっちりとした食感を得られる”もち黍”の美味しさは、昔の人々からの”御墨付き”というわけですね。
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では早速、収穫の様子に移りましょう。
まずは黄金色の穂を見つけ、穂の根元の部分だけこのように鋏で切ります。
切った穂がこちら。
米や粟の収穫の際は、収穫後に茎についたまま天日干しして十分に乾燥させ脱穀するため、穂の下を残して切りますが、黍は米等と比較すると種子が外れやすいので、先に種子を茎から外してから乾燥させることにしました。
想像以上に粒が外れやすく、収穫の際にちょっと触っただけで簡単にポロポロと落ちてしまうため、ひと粒も無駄にしないように慎重に籠に入れて行きます。
たくさん穂を集めひとまとめにしたところで、種子を茎から外す作業へ。
ビニールシートを引いて、石などの余計なものが入らないようにしたところで、
集めた穂を画像のようにゴシゴシと擦り付けます。
持ち上げると、パラパラとたくさんの種子が落ちてきます。
ゴシゴシと擦り付けるときに網や洗濯板を使うとよりたくさんとることができるとのことで、こちらも実践。
面白いほどポロポロと落ち、黍の粒をたくさん集めることができました。
そして集まった黍がこちら。
粟よりも一回り大きく、つるりとした粒の黍は、黄色みがかった黄金色。
“きび”の名前の由来も、黄色からきているんだそうです。
この黍、本来であれば天日干しにするところですが、台風が近づいていたため一時的に長尾(なごう)畑の横にある古民家の中に避難させることに。
一旦脱穀した茎は、取り残しのないように干してから再び脱穀するため、一緒に干してあります。
部屋いっぱいに広がるほどたくさんの黍でできた、黄金色の海に、
地元の方も五穀屋スタッフも、たしかな収穫の手応えを感じていました。
今回収穫した黍、どのようなお菓子になるのかは今後ご報告いたします。
どうぞお楽しみに。
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黍の収穫の後、粟の成長の様子が気になった一同は、
長尾と月夜平(つきよだいら)の畑の様子を見に行くことに。
こちらは、黍を干した古民家のすぐ横にある長尾の畑の粟。
既に穂が出ており、ネコアシアワの特徴である猫の足のような可愛らしいぽってりとした穂がたくさん実っていました。
一番早く作付けしたため、穂の色もなかなか良い状態です。
ひとつ手にとってみると、かなり立派に成長してきているのが分かります。
そしてこちらは、前回ご報告した月夜平の畑。
長尾の畑に比べて、穂が緑がかった色をしているのがお分かりいただけるでしょうか?
こちらはまだまだ時間がかかりそうですが、このまま順調に成長すれば10月頃には収穫できそうです。
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さて、粟の成長の様子も見ることができ安心したところで、
お腹が空いた一同は、水窪にある唯一のお蕎麦屋さんへ。
こちらのお店てはうどん・お蕎麦以外に、水窪特産の小粒のじゃがいも「みさくぼじゃがた」の串焼きや、スイカをごちそうになりました。
こちらは、店先にあった赤茶色の「きび入りのかしわ餅」。
この”きび”というのは今回収穫した”黍”ではなく”高黍”のことなのだとか。
お店の人によると、
水窪では昔から高黍のことを”きび”、黍のことを”こきび”と呼んでいるのだそう。
五穀の栽培の歴史ある水窪ならではのお話を、意外なところでお聞きすることができました。
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いかがでしたか?
今回は、今年初挑戦の黍の収穫と、粟の成長の様子についてお伝えいたしました。
いよいよ9月、秋の訪れとともに実りの季節を迎えた粟。
台風や動物といった障害も多くなる一方、収穫への期待も高まって参りました。
10月の収穫まで、およそ後1ヶ月ほど。
よりたくさんの粟が収穫できるよう、大切に見守っていきます。
以前、作付けの記事でチラリとご報告いたしましたが、
実は今年から初の試みとして、粟だけでなく黍(きび)の栽培にも挑戦しています。
以前の記事はこちら▼
http://gokokuya.jp/blog/detail.php?product_id=411
黍を栽培しているのは、粟を栽培している3つの畑のうちのひとつ「西浦(にしうれ)」の畑。
今年の5月中旬頃、粟の隣の畑で作付けを行いましたが、
8月下旬に粟よりも一足早く実りの季節を迎え、収穫を行うことになりました。
今回は、そんな黍の収穫の様子をお伝えいたします。
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こちらが、今回収穫した西浦の畑の黍。
黄金色に色づいた、箒のような形の穂が特徴的です。